新刊『人を想うこころ』~人生で大切な恩と供養の話~ が平成29年10月1日に発刊されました。
本書の一部を先読みしてもらえるようブログで公開いたします。
なぜ、供養をしなくてはいけないのか。
なぜ、恩が大切なのか。
本書で気づいてもらえるとうれしいです。
故人を忘れないことが供養の心
さて、私が文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の話をご遺族にすると、
「亡くなったお母さんも、お経の勉強をしているのかしらね。お母さんは生前あまり勉強しなかったから、困っているのではないのかしら。急に勉強しろと言われても、できないものね」
そしてご遺族は、懐かしそうに亡くなったお母さんの遺影(いえい)を見つめながら言いました。
「私があたふたと霊供膳(りょうぐぜん)やお菓子、果物を供えていると『まだできないの?』とせっかちな母に言われている気がする」、「私が家の電気を消して帰るときは、母が一人になるから寂しそうに見える」
故人は九十歳を超えての大往生(だいおうじょう)でしたが、子どもにとって親はいつまでも元気にいてほしいものです。ふとしたことから、亡き親を思い出すことを偲(しの)ぶというのですね。
いつまでも故人のことを偲(しの)んで、交わした会話や口ぐせなどを語り合いたいものです。
「故人を忘れないこと」が供養の心なのです。